ブブンガ村立ヌートリア学園

まとまった文章を置いておくところ(共同)

未来は明るく美しい

去年の春に従姉妹が花見にくると言うので呼び出された。従姉妹の娘も来ていて、いちいち電車の切符買おうとすっからしゃらくせ〜なと思って2000円入れたSuicaを買って渡したら(沖縄の子は電車に乗らないので交通系ICカードを持たない)、「これ、私に……!?」ってキラキラした目で喜んでくれたので、豪快に10,000円とか入れたら良かったなって後悔しました。ケチくさくて申し訳ない。

 

それはそれとして、うちの母も来ていたので近況などを聞いてたんですけども、彼女にしては珍しく「登場人物がわかる」「起承転結がある」喋りだったので大層驚いて、褒めちぎってしまった。「今の話面白いよ!!!」「意味がわかる!偉い!!」みたいな褒め方ですけど。

つまりお母さんの話は登場人物がわからず、セリフが誰のものかわからず、起承転結もなく、伝えたい内容もよくわからないものが多かった。

一体何がきっかけでわかる話し方になったんだ、と尋ねると、末弟が「オチがない」ことを糾弾したそうで(そんなことで家族を糾弾すんな)、乱暴にオチの付け方を伝授したところ、母の友人に大ウケだったそうで。めちゃくちゃ優しくて丁寧で上品な母の友人達は「私もオチなんか考えたことなかった…でも今のあなたのお話は面白かった!」と褒めちぎってくれたとのこと。まあ母は自分への褒めも貶しも盛りに盛るので実際の様子とはかけ離れてると思うんだけど、母にはそのくらい嬉しかったんだろうなというのは想像できる。

そんなわけで、母は話をする中身を考えてから喋る、というスキルを身につけたということだった。えっ……そんなん、褒めたら伸びるジャンルなの……!?知らんかった……。

 

さらには、最近は本を読んでいるという。

引っ越しを機に本をだいぶ処分した父が、小説の類はもう買うより借りよう〜つって図書館通いを始めたのに付き合ったのがきっかけだそうで(まあわかる、引っ越しにおける本の量は業者も自分も死にそうになるもんな)、小学生向けの事典とか、漢字の成り立ちとか、そういう雑学系もたくさん借りてるそう。

「そしたらね、若い時から東京の坂って変な名前たくさんあるし、なんで道を真っ直ぐにしないのかなって思ってたし、読み方難しい名前も嫌いだったし、古い建物も壊せばいいのにって嫌な気持ちだったんだけど、小説の中でも同じ名前が出てくるのよ!まだ物の名前か花の名前か鳥の鳴き声かわからないこともあるんだけど、辞書引きながら読むとわかるわけ!だからわたしね、たくさん散歩しようと思ってるの」

というようなことを言い出した。

ええ……小学校で習う読み方じゃないのかそれは。鳥の鳴き声か花の名前か分からんことがあるんか?つーか、史跡が好きなお父さんと台湾の故宮博物館行った時の写真が無表情だったの、死ぬほどつまらなかったからだ……?

「坂の由来とか、建物の由来とか、近くに看板あるじゃん?ああいうの読まないの?」

「読めない。お父さん、足が速いから……」

お父さんのせいじゃん!!!!!!!!

オメーがお母さんを育てろ!!!(???)

 

還暦過ぎてから本の読み方や、お喋りの仕方を覚えられてスゲーっていう話でした。未来は結構明るいわ。

ちなみに先週帰った時は「野球を日本に教えた人知ってる?マツオカシキって人よ」と教えてくれました。正岡子規な。教えたんじゃなくて翻訳な。でもそんな指摘は無粋なので言わなくていい。代わりに「その人が詠んだ歌知ってる?咳をしてもひとり、っつーの」と言ったら「一緒に咳はしないでしょ」と嗜められました。しかも今検索してみたら正岡子規の句じゃなかったわ。子規は咳じゃない。うるせ〜。