ブブンガ村立ヌートリア学園

まとまった文章を置いておくところ(共同)

映画の感想のような呪詛

映画ドラゴンクエストユアストーリーを見てきました。

一緒に見たマロンの感想を読んで「そうだね…」となったのは、一緒に感想をぶつけ合って捏ねたせいもある。

私もだいたいあの意見です。

 

以下、ネタバレ満載で書き殴ってます。ほとんど呪詛。今回はそういうことになってる。

 

ユアストーリーがマイストーリーじゃなかった驚き。

例えば画面右に居る人が、左の人に向かって「あなた」って言ったら、私だって「おっ!?俺か!?」とはなりませんよ。画面左の人を呼んだんだなって思う。だけど、これが物語の最後の最後で、大ゴマ使ってど正面向いて「この世界の名前はあなたが決めてね!」って主人公に言われたら「おっ!?俺が!?」ってなるし、戸惑う。魔法騎士レイアースのことですけど。光ちゃんの視線の先に私がいたこと無かったから驚いたな……。

で、ドラクエって主人公はずっと「あなた」であって、主人公の名前はプレイヤーがつけてきた。わたし、あんなデカいターバン巻いたことないけどドラクエVの主人公だったことあるんですよ。レイアースと違って、これは確かなわけ。小説読んでからは脳内キャラメイクはちょっと変わったけど(主人公=わたし)ではなくなったけど、わたしが見ている物語ではあったよ。

今回の映画の面白みはそのミスリードを用いたことなんだと思うんです。でもさ~、私が映画を観たのは封切最初の土曜の午前中@新宿、客席はだいたい同年代でした。上映時間間際に着席して、ざっと見まわした感じだと子供は居なかった。そらーそうよ、ドラクエVの発売ってかなり昔だもん。私が子供のころにスーパーファミコンで発売したんだもん。だから私のように「おっ!?俺か!?」って心の準備をした大人たちが大勢「俺じゃないんかーーーーーーい!!お前は誰だーーーー!」ってズッコケたと思うんです。「おっ、そうくるか!?」じゃなくて。大好きなドラゴンクエストVが3Dアニメになるっつーから、わくわく二千円近く払って二時間以上座って見てたわけよ。だけど私じゃなかった。私の物語でなかったばかりか、そばかすサラリーマン君の物語でもない。ドラクエVっぽいVRアトラクションを作った製作委員会か何かの物語。

こうなってくると、フローラも「魔法ババアは歯が抜けてるって知ってるお嬢様、結構えげつない魔法薬を使ってくる…市井の暮らしを意外とご存知…」ではなくて「オプションで魔法ババアにモシャスできるように設定して一番近くで推しカップルの結婚式を見届ける、VRアトラクションで主人公以外を選択したビアンカ派強火担」の可能性が出てくる。あのVRアトラクション、たまたまそばかすのユア君が主人公の「リュカ」を選択しただけで他のキャラもいける気がするもんね。何せゲームだから。プレイヤーは一時的に記憶喪失だけど何せゲームだから。

となると、ビアンカに「言っちゃったんだからね」ってあんな顔させたそばかすのユア君、やるじゃん~~!……でもそのビアンカも同時にプレイしてるユーザーの可能性出てきた。スタッフですらあったかも。スラリンが山ちゃんのカッコいい声で「惑うな!!!」って言ってくるくらいだからね、あれはビアンカじゃない可能性ある。存分にある。

てことは、奴隷時代にヒゲが生えて(大したことない量)も歯が綺麗なのはゲームだからだし、子供時代をスキップしたようにマリアのお兄さんイベントもカボチ村の胸糞イベントもスキップしただけだったかも。グランバニアを名乗ったもののグランバニアの国はないし、火をつけられたサンタローズ村もない。スキップしたから、あるいは設定されてないから。今回はそういう設定。

設定。

こういう設定だったなーって思い出すために見に行ったんじゃないんすよね。

家でテレビつけたらやってた、っつーならこんな虚しくならなかった。楽しみにして、猛暑の新宿に出かけたから虚しい。ゲレゲレ(わたしは初回でボロンゴ選択して小説読んだ後はずっとプックルにしてた)の走り方が可愛いとか、小屋の(小屋なんだ!?とはなったね)地下に入った時の埃がキラキラしてたのがキレイだったとか、ポワン様の髪型良かった~~とか、そういうのも全部虚しくなってくる。ブオーン倒したあとの酒場で、ビアンカがおっぱい近づけてくるのを「ウヒョォオオ」って思っちゃったのもゲームだし映画だしって言われて……もう呪いだよなー。

今後エンタメ見るにあたっての呪い。

だってウィルスを駆除しただけだもん。放った奴を殺せよ!!!!!!!!!!!そのハッカー()を殺してくれ!!!ユア君!!頼むよ!!!お前が殺すんだよ!!!!!!!!!!誕生日にスーファミ版のドラクエV買ってもらって夢中で遊んだユア君!!お前公式の存在なんだろ!?!?ハッカーを探し出して殺してくれ。じゃなかったらメタを許した監督だか脚本だかを殴ってくれ!!!!お前ならできる!!二時間近くだましたお前なら!!!!山ちゃんに励まされたお前なら!!!!頼む、お願いだ、殴ってくれーーーーーーー!!!!ギャグ漫画で作者を殴る要領で!!!もはや出来るっしょ!?

これがファンアート(平たく言って同人)作品なら「面白かった」って思えるかもしれない。でも公式なんだよな。これファンに見せてどうしたかったの?もうドラクエは大人が夢中になるもんじゃねーよって?いっそ4DXで客席を水浸しにして「ほんとだよ、ドラクエなんか、3Dアニメなんか夢中になるもんじゃねーわ」って思わせろよ。「そうきたかーーー!」なんてチープなどんでん返しは、世にも奇妙な物語とかでやってくれ。オリジナルでやれ。なんでわざわざ有名タイトルでやるんだよ。他所でやれ。こんなくだまいて尚、ゲームに映画に漫画に夢中になるような大人から金取ってんじゃねーよ。そんなに炎上が楽しいか。

声優の演技(声の演技をしている俳優だから声優って呼びます)とか、ちょっとどうでも良くなったよ。パパスとマーサの年齢差が相当ありそうだなこりゃとか、些末事になってしまった。それまで見てたもの全部どうでもよくなる。だってそうプログラムされてるだけだから。今回はね。

映画のことを思い出すと、すべてに「そうプログラムされてるだけだけどね」「今回はそういうことになってるわけですがね」ってつけてしまえるし、実際に感想を喋ってるときも言っちゃったし、言ってしまうと面白みがめちゃくちゃに減る魔法の言葉だった。

思ってたドラクエVじゃなくても良かった、解釈違いの主人公が出てきても良かった。ドラクエ4コマ劇場を経た我々(マロンも経てるから一緒に括る)(へてる、って語感いいね)は、解釈違いの主人公やキャラなんて山のように食べてきた。全然いける。

ドラクエVを見せてくれるならそれで良かったんだけど~~!?見せてくれるだろうっていう、そこだけは疑わなかったから鳥山明デザインじゃなくても(全体的にキャラデザがベイマックス的だったね)特にひるまずお金は出せた。でもドラクエVじゃないものが出て来るとは思わなかった。誰の何だよ。フィルター挟みすぎでしょ。

 

逆に、どんでん返しまでに出したシーンでのしょぼさ(酒場のシーン、意外とみんなわやくちゃになって飲んで無かった…とか)は「そういうプログラムなの。あのゲームが元だから豪華にし過ぎるのも違うでしょ?」って逃げられるので、それはそれで良かったんじゃないすか?架空のVRゲーム提供者だか製作委員会だかのせいにできるの新しいわね。

余談

ぼんやりと「双子は…?」なんて言いながら席を立って出口に向かう途中で、ぴあの腕章をつけたお姉さんに呼び止められた。出口調査だった。何点でしたか?ってきかれて、凄く悩んで77点って言ってしまった。ニコニコ喋ってるお姉さんに「は?5点。戦闘シーンは悪くなかった。あとゲマの光る顎は良かった」とは言えなかった。紙に書いて投函する形式なら5点って答えられたと思うけど、あんな直後の呆然としてるときには無理っすよ。

結論

クソみてえな映画だと思うし、あれをドラクエVとして売ったことを許さないけど、こうして呪詛を吐いておくことで、またドラクエVを違う切り口で作ってもらえたらいいなって思ってる。何ならもう1回観てきますので頼むよ。

世にも奇妙なドラクエVじゃないやつをな~~~~。頼むよ~~。